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『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』高畑充希 単独インタビュー

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『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』高畑充希 単独インタビュー

去年は世の中に置いていかれた

取材・文:浅見祥子 写真:奥山智明

どこでも眠れるのが特技という、ごく平凡な女子高生の森川ココネ。2020年東京オリンピックの三日前、父親の突然の逮捕を機に現実が歪んでいく。不思議な現象の鍵は、自分が見る“夢”のなかに!? ココネの、現実と夢を行き来する冒険が始まる――。神山健治監督によるSFファンタジーアニメ『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』でヒロインを演じ、ココネとして主題歌「デイ・ドリーム・ビリーバー」を歌った高畑充希が語った。

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想像力と妄想力で脚本を読みこむ

高畑充希

Q:最初にこの映画のオファーが来たとき、どう思いましたか?

自分の声にはちょっと癖があると感じていたので、こんな大役をいただいたことにちょっとビックリしました。ナレーションの声だけですぐに私とわかったと言われることが多く、それって吹替えのお仕事にはどうなのだろう? と自信がなかったので。実際にやってみるとココネの岡山弁も、ココネとその夢に出てくるエンシェンと2つのキャラクターを演じることも、難しかったけれど本当に面白かったです。

Q:未完成の映像を観ながら声を入れていくんですよね?

かなり未完成の状態なので想像力と……妄想力が必要です(笑)。それから相手の方との呼吸もありますが、その場で一緒にできる方と一度もお会いできない方とがいて、やはり想像力で補う必要がありました。俳優さんの口の動きに合わせないといけない外国映画の吹替えより自由度が高い面もありますが、同時に難しさもあるなと。監督の話を聞き、岡山弁の先生の指導を受けながら演じていきました。

柔らかめの声で、ナチュラルな演技

高畑充希

Q:神山健治監督の演出はいかがでしたか?

とても自由でした。私なりに考えていたことを受け入れてくださり、かなり自由にやらせていただきました。岡山弁って濁音が多く、ココネのキャラクターも猪突猛進なところがあるので、ともすればワガママな女の子という印象になってしまいそうだなと。そこで柔らかめにしゃべろうと思っていたんです。物語を観ているお客さんを置いてけぼりにしない、ちょっとのんびりとした感じが出るといいなと。ただココネとエンシェンの演じ分けについては、ハッキリと分けるのか、なんとなくなのかわからなかったんですよね。それで監督に聞くと、そんなに変えなくていいということだったので、本質は変えず、性格がちょっと違って見えればいいなと思っていました。

Q:監督は高畑さんの声を聞いて、ココネのキャラクターを高畑さんに近づけたのでしょうか?

監督は私に決まるずっと前から硬めの声、しっかりしていてちゃきちゃきした印象の声を探していたらしいです。映像から受ける印象そのままに強くて、イマドキな感じの。でも私がヒロインの声を演じた『シンデレラ』を観て、ココネをこういう声で描くのもありかも、と思ってオファーしていただいたことを先日知りました。ただエンシェンのときはちょっと硬めの声にしようと、語りに抑揚を少しつける感じで。その辺り、どれくらい表現すればいいのかは監督と相談しながら演じていきました。今回は私以外のキャストも俳優さんが多いので、全体的にはナチュラルな感じで。物語は基本的に日常を描いているので、抑揚をつけるところはつけなくちゃと思いながら、さらっとできたらいいなと思っていました。

毎回苦労する“方言女子”

高畑充希

Q:脚本の印象は?

ト書きや余白の部分が多く、これは映画が完成してみないとわからないなと思いました。文字だけでは私の妄想力が追いつかなくて。それでアフレコに行って未完成ではあるけれど映像を観て「なるほど!」となり、完成した予告編を観てさらに「なるほど!」と少しずつ理解が進んだ感覚です。映画の完成がどんどん楽しみになっていきました。

Q:確かに、脚本から完成図を想像するにはかなりの想像力を使った飛躍が必要そうですね?

そうなんです。だからこそ、あまり決め込まずに現場へ行きました。その場でセリフが若者言葉に変わることも多かったですし、そもそも岡山弁はわからないし……。私自身は大阪出身なのですが、岡山弁って大阪弁とたまに近くて、基本的に全然違うんです。だから余計にわからず、難しく感じました。若い人と年配の人とでは使う言葉も全然違いますし。

Q:方言女子がはやっていますが、岡山弁はどうやって覚えたのですか?

耳コピです。男性と女性の先生がついてくださって、その場でトークをしながら「次のセリフはこれです」とひとつひとつ教えてもらいました。耳コピは、わりと得意みたいです。どれほど正確かは地元の人でないとわかりませんが、言われた音をそのまま出すのは、ずっと音楽をやってきたせいかそれほど苦痛ではありません。でも……なぜか最近、方言を使う役が多いんですよね。毎回苦労しています。必死です(笑)。

Q:ココネのように、繰り返し見る夢はありますか?

すごく眠りが深いみたいで、ほとんど夢を見ないんです。でも仮眠をとったりすると、たいてい悪夢を見ます。悪夢の内容はそれぞれで、ちょうどさっき寝ていたんですけど、上を向いていたら口が開いていたみたいで。延々水を飲まされる夢を見ました(笑)。苦しくて苦しくて目を覚ましたのですが、とっても嫌な感じでした。たまに仮眠をするとそういう夢を見てしまうので、いい夢が見たいです。

ココネとして挑んだ名曲のカバー

高畑充希

Q:ココネとして主題歌も歌われましたよね?

ココネ役をやると決まってから、主題歌もというお話をいただきました。この「デイ・ドリーム・ビリーバー」の歌詞をココネに当てはめるとピッタリなんです。もちろん曲は知っていましたが、ちゃんと歌詞を読みこんだことはありませんでした。それがお母さんに向けたものだと知り、これはココネだ! と。やはり(忌野)清志郎さんのイメージがすごく強かったので、カバーするには勇気がいる曲だと思いましたし、私でいいのかなという気持ちはありましたが、ココネとして楽しく歌わせていただきました。

Q:『君の名は。』や『この世界の片隅に』等、邦画界はアニメのヒット作話題作が続いています。そこへ新たに作品を放つことへの期待感をどのように感じていますか?

昨年は自分のことでいっぱいいっぱいで世の中の流れに置いていかれています……たぶん(笑)。もちろんタイトルは知っていますし、大ヒットしていることは知っていますけど。そうした流れにこの映画が乗ることができたら最高ですが、そうした作品とはまた違う魅力がある作品でもあります。神山監督のファンの方にとっては、監督の新しいチャレンジに触れられる機会となるはずですし……監督の作品が好きな方も、アニメファンも、若い世代の方にも広がる、エンターテインメントとして楽しんでいただけたらうれしいです。


高畑充希

朝ドラ「とと姉ちゃん」のヒロインとして駆け抜け、お茶の間への浸透度も、女優としての位置づけも大きく変化したように思える高畑充希。取り巻く環境は激変したはずなのに、彼女自身は拍子抜けするほど自然体のまま。“アニメの吹替え”という本職とは微妙に異なる技術や取り組みが必要であるはずの今回の役柄についても楽しそうに、でも苦労したことは包み隠さず話した。邦画界でアニメの枠を超えたヒット作が連発するいま、この映画が引き起こす波紋はどのようなものになるのか? その行方が気になる。

映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』は3月18日より全国公開

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