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ジャズシンガー綾戸智恵、「世の中でもっとも辛い」と介護生活を赤裸々告白

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介護と向き合う難しさをしみじみ語った綾戸智恵
介護と向き合う難しさをしみじみ語った綾戸智恵

 認知症の母を持つ人気ジャズシンガー・綾戸智恵の介護生活を追った書籍「綾戸智恵、介護を学ぶ」の発売記念サイン会が26日に三省堂書店有楽町店で行われ、綾戸はいつもの明るい関西のおばはんキャラを全開にしつつも、「世の中でもっとも辛い」という介護生活について赤裸々に語った。

 綾戸は自身の介護生活が書籍化された経緯を「歌手である自分が介護をしている部分を知って、読んで良かったとちょっとでも思われる方がいればと思いました」と説明。まさに現在進行形で行っている介護については「はっきり言えますが辛いことのベストワンです」と、明るい口調と表情ながらきっぱりと断言した。綾戸の母は介護が必要な状態を表す「要介護認定(全5段階)」で要介護4と認定された重度らしく、トイレに行ったことや食事をしたことなど、数分前のことでも忘れてしまうことが頻繁にあるとのこと。「加齢による物忘れではなく、アルツハイマーによる認知症はわたしたちには想像もつかない。また何かを飲んだり食べたりすると普通は胃に入るが、母は嚥下(えんげ)障害といって肺に入ったりする。そんな状態の母に『さっき言ったでしょ』などと言っていたわたしがアホでした」と綾戸は介護と向き合う難しさをしみじみ語った。

 昨年には介護の疲れやストレスから安定剤を服用しすぎ、一時は意識不明におちいった綾戸。しかし現在では気持ちの切り替えができるようになってきたそうで「『がんばれ』と言われて『これ以上どうがんばれって言うねん?』と思うこともあったが、辛くなったときにはテレビを見ます。理解できないことや失敗をパッと忘れて次にいかないと自分が沈没してしまうので」と前向きなコメントをする。さらに「母はわたしの歌をもう聴きませんが、『そばにおって』といつも言っています。それが母の精一杯の生き方。わたし自身が思う母ではなく、あのままがわたしの母」と母への思いをにじませると、介護と向き合っている人たちに向かって「長い時間の中で解答が出るのを待つことが大事。たまにはわたしのコンサートに来て笑ってください」とエールを送った。

書籍「綾戸智恵、介護を学ぶ(税込み1,365円)」は現在発売中

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