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視聴率が低すぎたドラマ「鈴木先生」は名作で数々の賞を受賞!大震災で視聴者の意識に変化?制作サイドも困惑

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視聴率にはやきもきしたが、ドラマの仕上がりには大満足の武富健治と、河合勇人監督
視聴率にはやきもきしたが、ドラマの仕上がりには大満足の武富健治と、河合勇人監督

 17日、秋葉原のデジタルハリウッド大学で公開講座「監督と原作者によるTVドラマ『鈴木先生』ができるまで」が開講され、監督を務めた河合勇人と原作者の武富健治が教壇に立ち、学生に向けてドラマの制作秘話を語った。批評家には絶賛されたが視聴率に苦しんだ、長谷川博己主演のドラマ版に、原作者の武富は「地震の影響も一因では」と鋭い分析を示した。また教室には一般の参加者を含めた学生約100名が集まり、活気あふれる講義となった。

「鈴木先生」を演じた長谷川博己出演映画『セカンドバージン』写真ギャラリー

 ドラマ「鈴木先生」は武富が漫画雑誌「漫画アクション」で連載している同名漫画が原作。中学教師の鈴木先生が独自の教育理論「鈴木式教育メソッド」を駆使して、数々の問題を悩みながらも解決に導いていくという新しい展開の学園ドラマ。克明に描かれた先生と生徒の心理描写が人気を得て、漫画は第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞。一方、ドラマはギャラクシー賞月間賞と今年の日本民間放送連盟賞テレビドラマ番組部門最優秀賞を受賞し原作・テレビドラマ共に高い評価を受けている。

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 河合監督は「小学生や中学生が妊娠するという『岬事件』という話があるのですが、そのような過激な内容を最初に持ってくることで視聴者をびっくりさせてやろうとおもった」とあえて物議を醸すことで高視聴率を期待したという。しかし、「テレビでやったらものすごい苦情の電話が来るんじゃないかと、苦情対応のマニュアルまで作って待ち構えていましたが、悲しいことに電話があまり鳴らなかった。そのときに嫌な予感がしました」と結果として本作の視聴率が低迷したことに恨み節。

 一方の武富は「さすがに視聴率があそこまで悪いと、なぜここまで悪いのかを説明しきれない」と平均視聴率が2.1%と振るわなかったという本作をばっさり切り捨てるも「視聴率にはやきもきしましたが、ドラマはすごい良いものに仕上がっていたので、結果として完成した作品を見るとほっとした」と満足顔。批評家の高い評価を裏付ける発言で監督をフォローした。

 数々の賞を取ったことに監督は「作り手の狙いとしては、そういう権威に怒られるように、そして何より視聴率を狙って作ったが、それが逆転してしまったわけです」と苦笑い。すると武富は、ドラマが東日本大震災から約1か月後に放送されたことにも触れ「地震が一つの理由かもしれませんね。あれから視聴者の意識も変わって『きずな』とか、シンプルな風潮にうつっていったので『鈴木先生』の複雑で暗い内容が敬遠されてしまったのかもしれません」と鋭い分析を加えた。

 講座の最後に監督は「このままでは終われないし、続編もやりたいので、皆さんの応援があったら期待に応えられるようにしたい」と続編の制作を示唆すると、武富も「(視聴率が低い)そんな中でも皆さん続編を考えてくれているので、なにが起こってもいいようにすぐに動けるようにしておきます」と意欲満々だった。(取材・文:池田敬輔)

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