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仲代達矢の出演で実現…年金不正受給テーマ『日本の悲劇』監督が込めた思い

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自身の経験を振り返りながら、本作に込めた思いを明かした小林政広監督
自身の経験を振り返りながら、本作に込めた思いを明かした小林政広監督

 年金不正受給事件をモチーフにした映画『日本の悲劇』の試写会&トークイベントが19日、渋谷の映画美学校で行われ、監督の小林政広と社会活動家の湯浅誠が登壇した。二人は、劇中で外との接点を無くし孤立していく家族が直面する悲劇の根本にある「無縁社会」の問題について熱く語り合った。

映画『日本の悲劇』場面写真

 本作は、余命3か月の父親と、その父の年金を頼りに生活するうつ病の息子が直面する悲劇を描く社会派ドラマ。『春との旅』に続き小林監督と再びタッグを組んだ仲代達矢をはじめ、北村一輝寺島しのぶ大森暁美ら演技派俳優が集結し、日本がいま陥っている「無縁社会」の現状に鋭く切り込んでいく。

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 「この映画は、僕自身がいろんなことで追い詰められていた時期に書いたシナリオがもとになっている」と明かした小林監督は、「出来の悪かった少年時代、死にたいと思ったこともあったが、名画座で『大人は判ってくれない』という映画を観て、自分と似た主人公にすごく励まされた」と告白。「本作も同様に“追い詰められているのは自分だけじゃないんだ”と思ってもらえたら、作ったかいがある」と自身の経験を振り返りながら、作品への思い入れの強さをのぞかせた。

 一方の湯浅は、2010年に足立区で発覚した年金不正受給事件に触れ、「社会問題というより少しオカルトチックな部分が強調され、週刊誌が喜びそうな案件だった。わたし自身は、まさにこの映画で描かれたような苦悩する家族の姿が背景にあると思っていたので、現実をきちんと描いてくれたことに対して『ありがたい』と思った」と本作を称賛。

 これに対して小林監督は、「テレビのいろいろなドキュメンタリーから刺激を受けながら、映画化に向けてシナリオにどんどん没頭していった」と語り、「最後は、仲代さんがやる! と言ってくださったので実現できた」と喜びの表情を浮かべていた。(取材・文:坂田正樹) 

映画『日本の悲劇』は8月31日よりユーロスペース、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

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