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女性の生きづらさを女性監督が撮るリアル

キム・ドヨン監督
キム・ドヨン監督

 韓国で社会現象となったベストセラー小説を映画化した『82年生まれ、キム・ジヨン』で、長編映画デビューを果たしたキム・ドヨン監督が、本作で描かれる男女の不平等や女性として生きることの苦悩や困難について語った。自身も2人の子どもを育てる母であるキム監督が、全ての女性たちへ託したメッセージとはなんなのか。

妻に異変が…『82年生まれ、キム・ジヨン』本編映像

 原作が発売されたのは2016年。男女平等をうたいながらも、いまだになくなることのない性差別。結婚し、出産すると、仕事を辞めて子どもを育てることを当然とされ、女性たちの人生を制約していく現実を描いた内容は、多くの議論を呼び、韓国で130万部を突破するベストセラーとなった。キム監督もまた、原作に共感した一人だった。「自分が監督するなんて思ってもいなかったです。当時は映画学校に通っていたのですが、主人公に共感することがたくさんあり、すごく好きな本になりました」と初めて本に出会った当時を振り返った。本を読み、自分自身の生き方や環境、そして周囲の人たちを見直すきっかけになったことは、その後映画化する際に重要な柱になったという。

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 競争社会の韓国映画界において、これほどのミリオンセラー小説の映画化を、まだ一度も長編映画を撮ったことのない女性監督に託されることは滅多にない。キム監督自身も、オファーがきた時は信じられなかったという。「もちろんプレッシャーは感じました。私にとって初の長編映画ですし、これだけ大きな資本が入った映画というのも初めてでした。でも、恐がらずに一歩前に踏み出せて良かったです」と話した。

 女性監督だからこそできる繊細な表現という期待は、この映画に関わる全ての人が持っているが、監督はそんな期待に見事に応えた。「女性の物語を女性自身が表現することを大切に思っています。女性特有の目線があり、男性とは違う視点がある。女性だからこそ感じるディテールをしっかりと表現したいと思いました」と女性監督が女性の物語を紡ぐ大切さについて語った。そして、女性監督であることのプレッシャーよりも、自分だからこそできる表現に使命感を覚えたという。「女性たちが困難な状況に置かれたり、厳しい現実に直面しても、頼もしく笑い飛ばしたり、女性同士で連帯する力もきちんと描きたいと思いました」という監督の熱意通り、本作には現代社会を生き抜く女性たちの強さが描かれている。

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 原作を脚本化するにあたり、軸になるのは現代社会の韓国で追い詰められている主人公ジヨンの姿だった。「出産により、キャリアを断絶された彼女の再就職に向けた努力や挫折を主軸におきました。もう一つの柱として言葉を失った女性たちの物語を描き、二つのストーリーを共存していくようにしました」と言うように、原作にあったエピソードの数々が、主人公の周りで起きた出来事として映画に散りばめられている。

 劇中で子連れのジヨンを冷たい目で見るのは男性たちだけではない。女性の中にも、彼女に「専業主婦なんて、いい身分だ」と露骨な言葉を投げかける人たちはいる。本作が公開された時、「専業主婦のジヨンは恵まれている」という声もあった。女性同士の中に生まれる壁を監督はどのように感じているのだろうか。自身も専業主婦だった時期、仕事と子育てを両立していた時期があり、その中でいろいろな母親達と出会ったという。「映画にはたくさんの女性たちの人生が描かれています。ワーキングマザーと専業主婦の間に壁を作ろうと思えば、いくらでも壁は作れます。でも重要なのは、自分が置かれた状況で本当に自分がやりたいことはなんなのか。自分を冷静に見つめることが大切だと思います」と自身の経験を通したリアルな思いを語った。

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 韓国では多くの女性たちから支持された本作は、多くの議論を呼んだ。観客の感想について、「夫と子どもがいる主人公のことを恵まれているという人もいれば、彼女の苦悩に共感する人もいる。男性と女性も笑うシーンが違っているそうです」と本国での反応を明かし、自分がどんな人生を送ってきたか、どんな状況に置かれているかによって、映画の感想は変わるという。

 2019年に世界経済フォーラム(WEF)によって発表された世界153か国を対象としたジェンダー・ギャップ(男女格差)指数で、日本は108位の韓国を下回る121位という現実がある。日本の観客はキム・ジヨンの人生に何を思い、何を感じるのだろうか。(取材・文:森田真帆)

映画『82年生まれ、キム・ジヨン』は10月9日より全国公開

チョン・ユミ&コン・ユが夫婦役『82年生まれ、キム・ジヨン』本編映像 » 動画の詳細
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