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マーク・ウォールバーグ、ハードな増量秘話 ボクサーから転身した神父役に込めた思い

渾身の一作を仕上げたマーク・ウォールバーグ
渾身の一作を仕上げたマーク・ウォールバーグ - (C)Hollywood Foreign Press Association

 マーク・ウォールバーグといえば、体を張ったアクション大作やコメディーを中心に長年活躍するハリウッドスターだが、敬虔なカトリック教徒であることはあまり知られていない。彼が主演、製作した新作『ファーザー・ステュー(原題) / Father Stu』は、ボクサーから神父になったスチュアート・ロング(ステュー)という実在の人物を描いた感動作で、マークが情熱を傾けたプロジェクトだ。ロンドンでの撮影の合間、数日だけロサンゼルスに戻ってきたマークが、ハリウッド外国人映画記者協会のオフィスで製作裏話を語った。

【画像】綺麗なシックスパック!ボクサーを演じた時のマーク・ウォールバーグ

 元々は、一緒にランチを食べていた神父に売り込まれたアイデアだといい、聞いてすぐに作ることを決めたと言うマーク。「デヴィッド・O・ラッセルに話を持って行ったらとても気に入ってくれて、脚本作りを始めたのだけど順調に進まなかった。すぐに作りたいという切迫感があったから、自分でやることにしたんだ。それで、メル・ギブソンが監督して僕が主演する予定の作品の脚本を手がけたロザリンド・ロスに脚本を書いてもらい、興味を持ちそうな何人かに送った。でもみんな『暗くて複雑な男だ。これはだめだ』と言っていた。僕は、彼の話に勇気づけられると思わないの? って感じだったよ(笑)」

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 ステューの父親ビル役には、メル・ギブソンを起用することしか考えていなかったというマークは、かつてメルが『パッション』(2004)を製作した時のように、私財を投じて誰にも邪魔されることのない環境で作ることに決め、メルのパートナーでもあり、脚本を手掛けたロスに初監督を任せた。

 役づくりで大変だったのは、筋肉が萎縮する病気で動けなくなったステューを演じるために挑んだ、13キロの増量だったという。「ステューが肉体的に衰えていくにつれて、彼の精神性はより高まっていく。それを見せるのはとても重要だと思ったんだ」というマークは、過激な肉体改造に挑んだ。「ボクシングシーンは、撮影初日に全部撮影した。それまでは体をできるだけ引き締めて、その後の2週間は1日で7,000カロリー、それから4週間は1万1,000カロリーを摂取した。たくさんのプロテインやでんぷん、むくんだ感じを出すために塩分も取った。たらふく食べた後で休んでいたら『2度目の食事の準備が出来ました』って言われるんだ。参ったよ」と笑う。

 ステューが徐々に体を動かせなくなっていく様子は、マークの父親が同じような状態になった時の手の動かし方などを参考にしたという。

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 ステューの両親や神父たちとも長い時間を過ごしたというマークだが、映画には脚色された部分もあった。特に息子であるステューとの間に問題があり、アルコール中毒として描かれている父親のビルに完成作を見せるのは心配だったと告白する。「父親のビルは、僕を通して息子のステューを見たけれど、メルのことは自分と切り離してくれたんだ。『メルはすごくおかしいね』と、観客の立場でとても楽しんでくれた」

 また、神父たちは、ステューが使う罵りの言葉に懸念を示していたが、彼の人間としての成長を描くためには必要だったことを理解して、受け入れてくれたという。

 6月に51歳の誕生日を迎えたマーク。近年はプロデューサーとしても映画に携わっており、「いつもブラッド・ピットや他の俳優がパスした映画を待っている感じだったからね。自分自身の運命をコントロールしたかったんだ」とその理由を説明する。今作の製作中に母親を亡くしており、いろいろと考えさせられるところがあったようだ。
 「暴力や麻薬がまん延する地域に生まれて、難しい子供時代を送ったけど、信仰に重きを置き始めたら、良いことが起きるようになった。仕事も、個人的なことも、すべての成功は信仰のおかげなんだ。もちろん浮き沈みはあるし葛藤もあった。でも今、僕はお返しをしないといけない。僕の立場を使って、ステューのメッセージを伝え続けないといけなと思うんだ」。彼は今後も、信仰に基づいた映画やテレビ番組に関わるつもりだが「信仰のために、芸術性を妥協することは決してしたくない」とのことだ。(取材・文:吉川優子 / Yuko Yoshikawa)

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