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中国SF「三体」実写化に恐怖心も…「GOT」スタッフ再集結で挑むNetflix版「間違っていなかったと証明できる」

「ゲーム・オブ・スローンズ」を成功させたコンビが「三体」に挑む!
「ゲーム・オブ・スローンズ」を成功させたコンビが「三体」に挑む!

 社会現象を巻き起こした大ヒット作「ゲーム・オブ・スローンズ」(以下GOT)の製作総指揮を務めたデヴィッド・ベニオフD・B・ワイスが手がけた、Netflixドラマシリーズ「三体」が、3月21日より世界配信される。SF文学賞の最高峰ヒューゴー賞に輝いた中国の作家・劉慈欣リウ・ツーシン)の世界的ベストセラーをドラマ化した本作は、地球侵略計画を進める異星人“三体人”に人類が挑む物語。謎が謎を呼ぶスリリングな展開と、事件に巻き込まれた科学者たちの人間模様を、壮大なビジュアルで描いた超大作だ。配信にあたり製作総指揮のベニオフ、ワイス、アレキサンダー・ウーがリモートインタビューに応じ、作品に込めた思いや舞台裏を語った。(取材・文:神武団四郎)

【動画】多発する怪奇現象、迫る異星人の影…「三体」最終予告編

ドラマ化する際に考慮した「小説と映像の違い」

左からD・B・ワイス、アレキサンダー・ウー、デヴィッド・ベニオフ

 「三体」の企画が誕生したのは5年前、「GOT」終了直後だったとベニオフは振り返る。「ダニエル(・B・ワイス)、Netflixの幹部ピーター・フリードランダーと食事をした時に『三体』の話題になったんです。私とダニエルはまだ(小説を)読んでいなかったので、さっそく読みはじめました。ちょうどその後、僕らは家族と日本旅行に行ったんですが、お互い最終巻を読み終えたのは大阪・ロサンゼルス間のフライト中。ほぼ10分差でフィニッシュしました(笑)」。その魅力を「数十億年もの時を超えた壮大な世界観と、野心的なストーリーテリング。さまざまな出来事が集約していく結末」だというベニオフは、ワイスと感想を語り合いドラマ化すべきという意見で一致したという。

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 3部構成の原作は、現代から1890万年先の未来にわたって繰り広げられる長大な物語。ドラマ版では、現代を舞台にした第1部から第2部にかけての物語が全8話で描かれる。ワイスはドラマ化で苦心した点のひとつに、物語の構成をあげた。「世界のさまざまな場所で、時代を超えて繰り広げられていく物語です。1960~70年代の中国や現代のイギリス、ファンタジー色の強いVRゲームの世界、もちろん宇宙も登場します」とワイスが言うように、本作はさまざまな時間と場所を行き来しながら、三体人について解き明かすスリリングな構成になっている。

 アレキサンダー・ウーは、小説と映像の違いを考慮することもドラマ化に不可欠だと指摘する。「小説はゆっくり読んだり休んだり、前に戻るのも自由です。自分のペースで読み進める小説と違って、ドラマは第1話から流れるように展開させていくのが理想。どうしても小説とは違う展開になっていきます。この作品ではキャラクターの関係性をわかりやすくするために、後半に出てくる人物を序盤に登場させたりしています」とシリーズ化のポイントを明かした。

キャスティングで思わぬ制限

 ワールドワイドに配信される「三体」は、キャラクター設定にも手が加えられた。「小説では多くのキャラクターが中国人ですが、ドラマを観る世界中の人たちが自分たちの身に起こる出来事だとリアルに感じてもらえるよう、中国以外の国の人たちも出てきます」とワイス。キャスティングは、これまでも組んできた常連から、いつか仕事をしたいと思っていた名優まで多彩な俳優をオファーした。「ベネディクト・ウォンはいつか組みたいと思ってきた俳優のひとりで、諜報組織の捜査官という役柄的にもぴったりだと思います。『GOT』のジョン・ブラッドリーのように気心が知れている人もいます。彼はムードメーカーですが、今回はこれまでにない一面を見せてくれました。ほかにもメキシコ出身のエイザ・ゴンザレス、アレックス・シャープほか素晴らしい俳優たちが集まっています。作品を観ていただけたら、私たちのチョイスが正しかったと感じてもらえるでしょう」とワイスは自信をのぞかせた。

 欧米からアジアまで国際色豊かなメンバーが集結したが、キャスティング作業は思わぬ制限を強いられたという。「パンデミックのため、候補者と直接会う機会が限られてしまったんです。中には最終段階でやっと顔を合わせが実現したり、ロンドンでの撮影直前にはじめて会った人もいました」

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 地球人を試すための三体人のバーチャル世界、三体人に向けて発射されるロケットなど、スケール感ある見せ場をちりばめた本作。ウーはビジュアル面もチャレンジの連続だったという。「原作者の劉氏がよく口にしていることですが、小説は文字(言葉)で伝える媒体なので、読者は自分が想像した世界を体験します。しかし私たちは劉氏の世界を、誰もが納得する形で具体的な映像にしなければなりません。そこはもっとも苦労した作業のひとつです」

 そんな困難を乗り越えたのが「GOT」のクリエイターだった。ワイスは、かつて壮大なファンタジー世界を生み出したメンバーを「三体」に集結させた。「多くのキャラクターや、様々なロケ地が必要です。スケールの大きな作品なので、デザインや視覚効果も作品を左右します」とワイス。プロダクションデザインのデボラ・ライリーや監督のジェレミー・ポデスワ、撮影のジョナサン・フリーマン、視覚効果のイメージ・エンジン社ほか、クレジットには「GOT」からの続投組が名を連ねている。「多くの経験を持ち、一緒に仕事をやってきた人たちと素晴らしい仕事ができました。制作総指揮としてバーナデッテ・コールフィールドも駆けつけて、プロジェクト全体を進めてくれたことも大きかったですね」とメンバーを称えた。

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原作小説へのリスペクト

 社会現象を巻き起こした「GOT」も記憶に新しい中、世界的ベストセラーのドラマ化に挑んだベニオフとワイス。作品づくりでもっとも大切にしていることをたずねると、ベニオフは全体のバランスだと答えた。「素晴らしいストーリーはもちろん、キャストや現場で裁量を下す監督、セットや衣装、視覚効果も重要です。全てが等しく大切で、どれが一番ということはないんです」というベニオフだが、あえてひとつあげるならと前置きして、原作者の名前をあげた。「ドラマ化が発表された時、世界中の人々からあの小説をどうやってドラマ化するんですかという声が多く寄せられました。そういう意味で、私たちが今回もっとも大切にしたのが劉慈欣氏です。何よりも彼の小説を尊重し『三体』を作ったのですから」

 原作に感銘を受けドラマ化を決めたベニオフだが、製作にあたり恐怖心もあったという。「本当に自分たちにこの作品が作れるのか、正直なところ怖い気持ちもありました。不安を感じながら、そのことで逆に鼓舞されたのも事実です。あれから5年が経ったいま、当時の決断は間違っていなかったと証明できる作品になったと自負しています。『三体』を世界に配信することに私たちはワクワクしているんです」

 ベニオフやワイスらドラマ界のヒットメーカーのほか、製作総指揮としてブラッド・ピットロザムンド・パイク、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン監督らも名を連ねている「三体」。未曾有の危機に人類が一丸となって立ち向かう本作は、壮大なストーリーやビジュアルだけでなく時代性という意味でも注目すべき作品と言えるのだ。

Netflixシリーズ「三体」3月21日(木)世界独占配信

『三体』最終予告編 - Netflix » 動画の詳細
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