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総再生回数6億回超え!TikTokの縦型映画がスゴい【TikTok TOHO Film Festival】

左より審査員の藤井道人監督、アンバサダーの池田エライザ、審査員のしんのすけ 写真:杉映貴子

 「縦型映画」をご存じだろうか? いまや縦型の動画は、身近なツールであるスマートフォンなどで観る映像として、トレンドに敏感な若者を中心に幅広い層の間で主流になりつつある。それが映像業界にも大変革を起こしているのは、2022年に始まったカンヌ国際映画祭とショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」とのコラボ企画「#TikTokShortFilm コンペティション」からもうかがえる。同企画では2年連続で日本人クリエイターがグランプリを受賞していることも話題を呼んだが、それに先んじて2021年より開催されているのが、「TikTok TOHO Film Festival」(TTFF)だ。今年で3度目を迎えた本映画祭を通し、応募作品の総再生回数が6億回を超えるという「縦型映画」の魅力を探ってみた。(取材・文:天本伸一郎)

スゴいぞ「縦型映画」!

「TikTok TOHO Film Festival 2023」表彰式より左からプレゼンターの斉藤由貴、グランプリ&観客賞受賞の宮田和弥監督、プレゼンターの池田エライザ

 「TTFF」は、「縦型映画」という新たなカタチを通して映画の可能性を広げると共に、世界に羽ばたく新たなクリエイターを支援すべく、TikTokと東宝株式会社がタッグを組んだ映画祭。ショートムービープラットフォームとして世界を席巻するTikTokと、日本映画界を牽引する東宝という、映像業界のトップランナー同士が組んでいることからも、一時的な流行に乗る企画ではない、縦型映画という分野の将来性に懸ける意気込みや本気度がうかがえる。

 3年目となる今年は、1本の投稿で完結された1分から10分以内の縦型映画を審査対象とし、約800の応募作品の中からグランプリをはじめ4部門の受賞作品が決定した。「#TT映画祭2023」をつけて投稿された応募作品の総再生回数は、2023年10月時点で6億回を突破している!

 最大の目的である“新たな才能の発掘”もよりスケールが大きくなり、今年はグランプリ受賞者に斉藤由貴という大女優を主演に迎えた新作を撮るビッグチャンスが! さまざまな映像業界のプロによる投稿も増えており、未知の才能が羽ばたくきっかけの映画祭として発展しているようだ。

ストーリーにハマる!:グランプリ&観客賞をW授賞作は実話ベース!

グランプリ&観客賞をダブル受賞した『反復横跳び少女』

 審査員を務めたのは、映画祭のアンバサダーでもある池田エライザ(俳優・歌手・映画監督)をはじめ、藤井道人(映画監督)、佐久間宣行(TVプロデューサー)、しんのすけ(TikTokクリエイター)の4人。グランプリに輝いたのは、『反復横跳び少女』(監督:宮田和弥)。鳥取県のある女子中学生の反復横跳び記録が全国で1位になったというニュースから着想を得た作品で、観客賞とダブル受賞の快挙を成し遂げた。池田を“鳥肌が立った”と言わしめるほどの出色の出来だ。

 池田は受賞理由を「縦型にすることで、こんなにも主人公の心の閉塞感を描けるんだと。さらにスマホで観るだけに、自分のパーソナルな空間で、少女のキラキラとした瞳を間近でじっくりと目撃できて、没入感や親近感がありました。限られた幅を反復横跳びする少女が縦型映画の今後の可能性を表現しているようで、鳥肌が立つほどの刺激を受けました」「映画的な空気感がありつつ転がるようなカメラワークなどTikTok的な映像ギミックもあり、堂々として潔く、肩肘張らない感じに、1本取られたな……と」と興奮気味に語り、藤井監督やしんのすけもグランプリは“満場一致”で決定したとその才能に惚れ込んでいる。

 「冒頭の掴みからユーモア、編集のテンポ、適切な距離感やアングルなど、総合的な完成度が高い。日常を次々とうまく繋いで少女の閉塞感を描いた後にギャグが飛んでくるような飽きさせない展開もよかった」(藤井)、「TikTok的に非常に大事な冒頭のつかみにキャッチーさがありつつも、ちゃんと物語の要素として始まっているのがいい。実際に起きたことから発想しているのも、非常に映画的でエンタメ性もある。コメディーっぽいタイトルからの裏切りも良かったですね」(しんのすけ)

『反復横跳び少女』はコチラ

驚きの仕掛け!:キリンの首を巡る3分53秒の妄想世界

アニメ・CG賞受賞作の『My Apollo Plan』

 部門の中で「縦型」ならではの映像的な仕掛けが光るのが、アニメ・CG賞受賞作の『My Apollo Plan』(監督:My Apollo Plan制作チーム)。街なかで実物大のキリンの模型を目にした少女の妄想を描いたストーリーで、4分に満たない短尺ながら、まさに縦型でしか表現できない壮大な世界だ。

 しんのすけは「キリンの首が果てしなく伸びていくのを、縦長の画で撮ることでこんなに面白く演出できるのかと」と感心しきりで、「CG表現も巧いし、タイトルがいい伏線になっている。TikTokはアップテンポなものが多い中、ゆったりとした時間の流れでも観てもらえる作品に挑戦している」とTikTokクリエイターならではの視点で評価した。

 池田は「美術館で心がくすぐられる作品と出会った時のような感覚」「うっかり深夜に遭遇したい作品。人生悪くないって思えそう(笑)」、藤井監督も「ヒーリング効果があって寝落ちさせてくれそうな気持ちよさ。ワンアイデアを映像化する力が非常に長けている」と心をつかまれた様子。

『My Apollo Plan』はコチラ

可能性は無限大!:傑作が“うっかり”生まれることだってある

「TikTok TOHO Film Festival 2023」アンバサダーの池田エライザ 写真:杉映貴子

 今年の映画祭は総じてレベルが高かったと振り返るなかで、「最初は映画館の観客を奪うのではと嫉妬や危惧も感じた」という池田は、刺激を受けつつ、反省したという。「東宝さんがこのような取り組みをするということは、破壊と構築の時代なんだと思いました。伝えたいものがあるから作るということは同じ。TikTokで身近に“映画”に触れ、愛していただき、映画館に行ってみようと思う方が増えたら。新たな可能性を感じたし、とても勉強になりました」

 「時代が生んだ映像芸術で今を切り取っている」と総評するトップランナー監督の藤井も、この映画祭は「すごく身近にモノ作りや、発信ができる環境があり、映画が進化している。新たな才能との融合を目指す挑戦に魅力を感じた」と明かす。「劇場映画と違い、離脱されないための観客との共犯関係を築くような、TikTokなりのロジックが必要なのも面白い」とその魅力を語る言葉は尽きない。

 3度目の審査員を務めるしんのすけも、「映画の進化の過程を一緒に感じられるいい機会。粗削りなスマホだけで作った作品でもいい。うっかりいいものが撮れちゃう可能性はある」とすでに次回が待ち遠しそう。「広告業界などさまざまな分野で縦型動画の素養が重要視されている」「映像制作に興味を持つ一歩目や起点になる!」と熱弁するように、縦型映画とTTFFが盛り上がることで生まれる可能性は無限大だ。未知の才能の発掘はもちろん、TikTokと映画界のさらなるコラボレーションやさまざまな循環が生まれることも期待したい。観るのも、撮るのも、いち早く体験することで、その驚きと感動がより大きなものになることは確実だ。

「TikTok TOHO Film Festival」公式サイト

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