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広瀬すず、何もかもボロクソに…監督の鬼指導に感謝

「全てが愛情」と語る広瀬(写真:高野広美)
「全てが愛情」と語る広瀬(写真:高野広美)

 今や映画やテレビに引っ張りだこの女優・広瀬すず(18)が17日公開の映画『怒り』で、あるショッキングな事件に巻き込まれる女子高生の役に挑んだ。自らオーディションで役を勝ち取り、スパルタな指導で知られる『悪人』の李相日監督から“ボロクソ”に言われながらも、歯を食いしばり必死に耐え抜いたという広瀬が、本作の撮影を振り返った。

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 『悪人』に続き、李監督が吉田修一のミステリー小説を映画化した本作は、現場に「怒」という血文字が残された1年前の未解決殺人事件を軸に、千葉、東京、沖縄を舞台にした3つの物語が紡がれる群像劇。母親と夜逃げ同然で沖縄の離島に移り住んできた泉(広瀬)は、無人島にこもるバックパッカー・田中(森山未來)と出会い、不思議な魅力に惹(ひ)かれていく一方で、過酷な運命に直面することになる。

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 脚本を読めば読むほど、泉のことが知りたくなり、「自分の中で何かが変わりそうな予感がした」という広瀬。自ら本作への出演を志願しオーディションを受けるが、「今回はものすごく緊張しました。想像以上に厳しかった」と述懐する。そのときの広瀬について李監督は「持って生まれた魂の強さ、存在から放たれるエネルギーは他の人にない魅力。その魅力を引き出すためには現場で千本ノックかな」と語っていたが、予告は現実のものとなる。

広瀬すず

 広瀬は「初日はカメラを回してもらえず、リハーサルを9時間くらい。ほとんど、自分の感情と相手の感情を考えることに費やされました」と苦笑い。「自分の心が動いたときに、相手の表情を見て、何を感じ、なぜその場面に至ったのか。映画の中では17歳の泉ですが、それまでの17年間、男性にだらしない母親に対してどう思っているのか、それを踏まえて田中という人物をどう捉えるのか。役をつかむまでとことん考えさせる、それが李監督の特徴なんです」。

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 さらに「李監督にとってわたしの演技は論外だったんでしょうね。普通は言いにくいこともおかまいなし、何もかもボロクソに言われて『悔しい!』って思いながら必死に追いつこうとしていた」と吐露。それでも「全てが愛情」と言い切る広瀬は、泉に降りかかるある衝撃的なシーンも、李監督がくれた言葉で乗り切れたと声を弾ませる。

 「とにかく怖くて、もがき苦しんで、ずっと泣いていたんですが、本番に入る前に李監督から『泉は心が引き裂かれるんだ』と言われ、それに導かれるように想像して、想像して、それでも正解がわからないままに演じ切り、OKをいただいた。泉の感情が伝わったようで、『やっと終わったね』と優しく声を掛けていただいたときは嬉しかったですね」としみじみ。

広瀬すず
(C) 2016「怒り」製作委員会

 また、映画・ドラマ・CM出演も続き、順風満帆に思える広瀬だが、当の本人は自分の演技が未熟すぎると語る。「今思うと、李監督によって自分に欠けていたことをいろいろと気付かされました。この作品に出会っていなかったら、自分の限界を知らずにいろいろ終わっていたかもしれない。それくらい本気にさせてくれた」と表情を引き締める。

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 持てる全ての感情を吐き出して、女優として新たな可能性を示してくれた広瀬。本作は渡辺謙をはじめ、森山未來、松山ケンイチ綾野剛宮崎あおい妻夫木聡ら日本映画界を牽引する役者が名を連ねるが、偉大な先輩に出会えた喜びを素直に受け入れ、明日への活力に還元する彼女は「皆さんの背中を追いながら、わたしも役を『生きる』女優を目指したい」と目を輝かせていた。(取材・文:坂田正樹)

映画『怒り』は9月17日より全国公開

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