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社会派映画の巨匠オリヴァー・ストーンが新作に込めた思い

次回作も期待してます!
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 英雄か、国家の裏切り者か……。米国政府による個人情報監視を告発したNSA(米国家安全保障局)職員の半生をオリヴァー・ストーンが描き出した映画『スノーデン』が、27日に全国公開された。これまでにアカデミー賞監督賞を2度受賞し、米大統領を題材にした『JFK』『ニクソン』『ブッシュ』でも知られる社会派映画の巨匠が「最後の作品になるかもしれない」と話す意欲作。映画のプロモーションで来日したストーン監督が、新作に込めた思いを語った。

【写真】映画『スノーデン』ギャラリー

 ストーン監督が「アメリカの諜報機関は彼の言うことを否定するだろうが、私は真実だと思う。この映画を観て判断してほしい」と紹介する本作。2013年6月、NSAの職員だったエドワード・スノーデン(当時29歳)が、米国が極秘に構築した個人情報収集プログラムでメール・SNS・通話を監視していたと英ガーディアン紙で明かし、全世界を驚愕させた。米国を敵にまわしたスノーデンはその後、ロシアに亡命している。本作は、たった一人、すべてを捨てて国家権力に立ち向かった男の物語だ。

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 「彼の告白に拍手喝采の気持ちでいたが映画化に興味はなかった」というストーン監督。製作のきっかけはスノーデンの本を書いている弁護士から受けた「本を読んでほしい」という電話だったそう。「2年間で9回ロシアに行って信頼関係を築くうちに、スノーデンの視点から見た物語を作ろうと思った」と明かし、「こういった(国家による情報監視のような)ことが起きていることを知って、問題の巨大さ複雑さをぜひ考えてほしい」と口調も熱くなる。

 公開までの道のりは険しかった。脚本を仕上げたものの「アメリカの大手スタジオから製作・出資を断られた」というストーン監督は、そのことを「(NSAに対する)自主規制だったと思う」と分析する。結局、ドイツのプロデューサーから出資を受け、やっとの思いで映画を完成させたが、「アメリカでの公開は小さな配給会社から。しかも公開時には、アメリカのメディアから無視され、軽んじられた」と振り返る。それでも「ドイツ、フランスでは反応もよかった」と笑顔を見せ、「今回、日本で配給してくださることは非常にありがたい」と感謝の思いを隠さなかった。

 『プラトーン』などで見せたバイオレンスな作風にも定評があるストーン監督だが、今作はソフトに、そして淡々と物語が進む。その点に関しては「スノーデンは受け身で物静かで外交的ではない。オタクですよ」と理由を説明する。「だから映画も知的スリラーで銃も出てきません。銃撃戦があればアメリカでも興行成績がよかったのかな」と笑いつつ、「僕は職人。その映画があるべき姿、主人公の立場に立って作っている」と続けた。

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 数々の問題作で議論を巻き起こしてきたストーン監督は「もうアメリカには僕の映画作りに協力してくれる人がほとんどいない。もしかしたらこれが最後になるかもしれない」と心境を吐露。ただ、トランプ新大統領の誕生について「トランプ政権ではスノーデンの罪が恩赦されるかもしれない」と話し、次回作を聞かれると「プーチン」と答えた。まだまだ社会に切り込むストーン節は健在のようだ。(取材・文:岩崎郁子)

映画『スノーデン』は全国公開中

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