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【ネタバレ】あの相撲映画がアップデート!新しい時代の「シコふんじゃった!」がアツい

映画『シコふんじゃった。』から30年後、またもや廃部寸前の相撲部が舞台。オリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」ディズニープラスにて独占配信中
映画『シコふんじゃった。』から30年後、またもや廃部寸前の相撲部が舞台。オリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」ディズニープラスにて独占配信中 - (C)2022 Disney

 ディズニープラスでオリジナルドラマ「シコふんじゃった!」(全10話)の配信が始まった。これは1992年に公開されて、日本アカデミー賞で5部門を受賞するなど高い評価を受けた本木雅弘主演、周防正行監督の映画『シコふんじゃった。』の30年ぶりの続編である。(以下、「シコふんじゃった!」のネタバレを含みます)(文:大山くまお)

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 ドラマ「シコふんじゃった!」のストーリーは、廃部寸前の弱小相撲部に入部した大学生が、仲間たちと協力して相撲部を立て直し、まったく関心のなかった相撲に熱くなって奮闘するというもの。大まかなあらすじは映画版を踏襲しているが、現代にふさわしいアップデートが施されており、まさに今観るべき作品になっている。

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 リメイクでもリブートでもなく、映画『シコふんじゃった。』の舞台設定や登場人物をそのまま引き継いでいる。ドラマ版だけ観ても十分楽しめるが、30年前の懐かしい面々も顔を出すので、ドラマ版を観る前に映画版を観ておけば、さらに楽しめるのは間違いない。

廃部寸前の相撲部にいたのは女性部員一人だけ!?

葉山奨之
卒業単位取得のために相撲部に入った葉山奨之演じる森山亮太(右)。オリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」ディズニープラスにて独占配信中(C)2022 Disney

 何事も中途半端で無気力だが要領だけはいい大学生・森山亮太(葉山奨之)。ちゃっかり就職の内定も得たのだが、卒業するにはどうしても単位が足りない。卒論指導教官の川村夏子(清水美砂)が単位取得のための条件として亮太に提示したのが、廃部寸前の相撲部に入って試合に出場することだった。仕方なく亮太が相撲部に足を運ぶと、そこには黙々と四股を踏むたった一人の部員、相撲部主将の大庭穂香(伊原六花)の姿が。

 相撲部には穂香のほか、マネージャーを務める就職課職員・田澤亜里沙(佐藤めぐみ)がいて、ちゃんこ屋を営むOBの田中豊作(田口浩正)も出入りしているが、団体戦に出場するにはメンバーが足りない。穂香と亮太がかき集めたのが、ボディビルが大好きな筋肉バカ・伊藤悠真(森篤嗣)、サラリーマンを経て大学に入学した趣味がバレエの野口レン(高橋里央)、亮太の友人で元ひきこもりのゲーマー・加藤俊(佐藤緋美)という面々。

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伊原六花
撮影前に相撲の稽古を数か月も重ねた大庭穂香役の伊原六花。オリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」ディズニープラスにて独占配信中(C)2022 Disney

 こわもてのOB・熊田(六平直政)らにハッパをかけられながら稽古を積む亮太たち。そこに現れたのは、穂香が憧れる伝説のOB・青木富夫(竹中直人)だった。30年前、田中らとともに優勝を果たし、その後は実業家として成功を収めていた青木だが、今は相撲部に顔を出せない理由があった。そんな中、亮太たちは団体戦に出場するが、惨敗を喫してしまう。一方、相撲が大好きで相撲一筋に打ち込んできた穂香は、女子の部の試合に臨むのだが……。

ドラマと映画の共通する部分は?

葉山奨之
まわしを締めるのも大変だったと葉山奨之。オリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」ディズニープラスにて独占配信中(C)2022 Disney

 映画『シコふんじゃった。』とドラマ「シコふんじゃった!」は地続きの世界であり、共通点も多い。舞台になっている教立大学(モデルは立教大学)も同じである。

 かつての相撲部マネージャーで今は相撲部顧問となった夏子、相撲への愛情は人一倍だが緊張するとおなかを下してしまう青木、優しく後輩たちを見守る田中(クリスチャンの設定も映画のまま)、パワハラめいた言動が多い熊田などは、30年前とほとんど変わらない姿を見せてくれる。姿は見せないが、相撲部の壁には本木雅弘が演じた山本秋平やスマイリーらの名札も。

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竹中直人
竹中直人ふんする伝説のOB・青木富夫。オリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」ディズニープラスにて独占配信中(C)2022 Disney

 第1話の冒頭、夏子に呼び出された亮太が授業に出席していなくて教授の顔がわからないというシーンは、映画版の穴山教授(柄本明)に呼び出された秋平(本木雅弘)とのやり取りをそのまま踏襲している。映画を観た人なら誰もがクスッと笑うシーンだろう。団体戦で戦う相手の本日医科大学、北東学院大学も同じ。“北東のケン”こと倉高(宮坂ひろし)もライバル校北東学院の顧問として登場する。

 映画『シコふんじゃった。』の周防正行監督が今回は総監督として監修し、数多くの周防作品に携わった片島章三が監督を務めているため、オフビートなおかしさは映画そのまま。周防義和が手がける流麗だが熱さを秘めた音楽もポイント。

30年を経て大きくアップデート!

穂香と女子部員
穂香の他にも女子部員? オリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」ディズニープラスにて独占配信中(C)2022 Disney

 ドラマ「シコふんじゃった!」で特筆すべきオリジナルの要素は、なんといっても女性相撲部員・穂香の存在である。

 とにかく穂香を演じる伊原六花の四股が美しい。誰もが見とれる美しい四股だけでなく、すり足、鉄砲、股割りなどの相撲独自の動きを難なくこなすのは、ダンスとバレエの経験がある上、相撲の稽古を数か月重ねた伊原ならではだろう(難なく四股を100回連続で踏めるようになったそう!?)。

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 わんぱく相撲で男の子を倒した経験があり、「相撲はバランスの奇跡。体の小さい者が大きい者を倒せるスポーツ」と話す穂香は、いつか男女一緒に同じ土俵で戦うことを夢見ている。手持ち無沙汰になると電柱相手に鉄砲をするぐらい、誰よりも相撲を愛し、誰よりも相撲に本気で打ち込んでいる穂香だが、相撲部のOBたちには存在すら無視されているという状況。もちろん、男子たちの試合に出ることはかなわない。

相撲部員たち
穂香と亮太がかき集めた相撲部員たち。オリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」ディズニープラスにて独占配信中(C)2022 Disney

 神事をルーツに持つ大相撲は女性が土俵に上がることを禁じているなど、伝統という名のもとに旧来の男性優位の日本社会を色濃く残している部分がある。一方で、女子相撲に有力選手が登場し、アマチュアの大会には女子の部も増えてきている。また、オリンピック競技として相撲を認めてもらうために女子相撲の普及を進めていく動きもある(オリンピック競技には女子での普及実績が重要)。映画『シコふんじゃった。』には女子マネージャーの正子(梅本律子)が男性にふんして土俵に上がる場面があったが、女性相撲部員の穂香はその存在を一歩も二歩も推し進めたものだ。竹中直人演じる青木が、男女が共に相撲を取る未来を夢想しているのも、30年前に正子の奮闘を目の当たりにしていたからだろう。

 「今しかできないことを、本気でやってみな。本気でやれば、きっと楽しくなるから」とは青木の言葉だが、何にも熱くなれなかった亮太たちが熱くなったとき、どのような姿を見せてくれるのか。何より、自分の好きなことを貫く穂香が、どのように「ガラスの天井」ならぬ「ガラスの土俵」をうっちゃるか。今後配信される後半が楽しみだ。

オリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」はディズニープラスにて独占配信中

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